2017年1月クラウドクレジット運用報告会の詳細レポート。評判の良さに納得!

2017年1月15日(日)、【クラウドクレジット】の運用報告会に参加してきました。
東京の茅場町での開催で、参加申し込み人数は90人程だったようです。実際の参加人数はそれよりやや少ないかもしれませんが、老若男女、多くの方が参加していました。

参照元 クラウドクレジット:東京開催!クラウドクレジット運用報告会

東京開催!クラウドクレジット運用報告会

【日時】2017年1月15日(日)
【場所】FinGATE 東京都中央区日本橋茅場町1-8-1 茅場町一丁目平和ビル 1階
【最寄り駅】茅場町駅 徒歩1分、日本橋駅 徒歩4分、水天宮前駅 徒歩12分
【時間】13時開場 / 13時30分開始 / 16時終了 途中退出可
【参加費】無料
【内容】
・クラウドクレジット会社紹介
・ファンドの運用報告
・クラウドクレジットの業務体制について

約2時間半(途中10分弱の休憩有)の報告会だったので、参加前は「ちょっと長いかな?」と思っていましたが、実際にはあっという間。質疑応答も盛んでしたが、終了予定時間が来たので打ち切り、という感じでした(まだ質問がある方は個別対応)。

今回運用報告会に参加してみて初めて分かったことや、より理解が深まったこと等もありました。参加して良かったです。
そこで、この運用報告会に参加した内容について、当ブログでもご紹介したいと思います。

なお、出来るだけ正確にお伝えしたいとは思っておりますが、私の理解が間違っていたりする部分もあるかもしれません。また、個人の感想や考察も記述しています。
予めご承知おきくださいますよう、お願い致します。
スポンサーリンク

会場・雰囲気について

会場は東京メトロ・茅場町駅からすぐ近く。道を歩いていると、一面ガラス張りの窓になっている部屋が目に入りました。そこが今回の運用報告会会場。窓のブラインドを開けていれば外から丸見えのとてもオープンな会場でしたので、好印象でした。

万が一、閉鎖的な部屋に閉じ込められて勧誘を迫られたりしたら怖いですもんね。全くそんなことはありませんでしたので、そういう不安があって報告会への参加を躊躇っている方がいらっしゃいましたらご安心ください。純粋な運用報告会で、全く勧誘等はありませんでしたよ。
運用報告中もブラインド全開でオープン感満載だったので、スライドの資料は少し見にくい時もありましたが(^^;)。

参加者は、若い方からシニアの方まで様々。男性の方が多かったですが、女性も10%位はいらっしゃったように思います。参加時の服装が気になる方もいらっしゃるかもしれませんが、皆さん普通にラフな格好ですよ。むしろスーツを着て行ったら浮きます(クラウドクレジットの関係者に間違えられるかも)。

ちなみに、ペットボトルのお水を1本配布してくださいました。有難いです。

クラウドクレジット 会社紹介

まずは会社の紹介です。社長の杉山さんよりお話がありました。

こちら、大体はクラウドクレジットのHPでも確認出来る内容です。
当日の資料が公式サイトにアップされていますので、そちらを随時引用してご紹介しますね。

参照元 クラウドクレジット>お知らせ>クラウドクレジット運用報告会を開催いたしました。

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)
クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

運用ファンドは、現在約10種類。徐々に提供ファンドが増えていっており、今後も新たなファンドを立ち上げる予定とのこと。
また、表を見ると、カメルーン中小企業支援プロジェクトファンドが最も運用額が大きいですね。期待利回りが高いため人気なのでしょうか。

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

提携先・貸付先の業務展開国は、エストニア・カザフスタン・カメルーン・キプロス・ジョージア・スペイン・チェコ・フィンランド・ペルー・ポーランド・ラトビア・リトアニア・ロシア・イタリア・ブラジル・デンマーク・メキシコの17か国です。

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

ローン成立額は16億円を突破し、ユーザー登録者も増えています。
話によると、現在ユーザー登録者は約2,600名、実際の出資者は約1,300人とのことでした。最近のユーザー数の伸びは著しいですね。

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

今後のクラウドクレジットの重点強化ポイントは、下記3つ。

・ プロダクト:ファンドの拡充等
・ コミュニケーション:投資家への情報開示等
・ UI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス):使いやすさ・機能

特にUI/UXについては、近々ポジション一括機能やシミュレーション機能の追加も予定されており、力を入れているように感じました。

また、今回様々な場面で仰られていたのは、「ソーシャルレンディングの投資について正しく理解して頂きたい」ということ。特に資産の「ブレ」に対して、投資家とコミュニケーションをしっかり図っていきたいとのことでした。

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)
クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

「ソーシャルレンディング」というと、

・ 全く損失は出ず、必ず利益(金利・元本)が約束されているもの
・ デフォルトが起きると、資産が全て無くなってしまうのではないか

というような「丁半博打」のように考えている方もいるのかもしれませんが、実際には途中でデフォルトが生じることもあるし、資産が目減りすることもあります。但し、きちんと分散されたソーシャルレンディング投資であれば、デフォルトが起きたからといって全財産が無くなってしまうというわけではなく、多少のブレがありながらも長期で見ると複利で資産を増やしていくことが出来るもの、と理解して欲しいとのことでした。また、そのブレ幅は株式投資に比べると少ないはず、ということです。クラウドクレジット側でも、分散投資のためにファンドの拡充には力を入れていくというような話もありました。

ここで私が大事だと思ったのは、「分散」ということです。

投資においては「分散」というのは非常に大切ですが、それはソーシャルレンディングでも同じです。クラウドクレジットでも色々な種類のファンドが販売されていますが、各ファンドの商品特性は異なり、それぞれが持つリスクも異なります。今回運用報告会に参加して各ファンドへの理解は深まりましたが、1種類のファンドに集中投資していた場合、そのファンドに何かあった時(カントリーリスク、取引会社の破綻リスク等)、最悪全損もあり得ます。でも、他のファンドにきちんと分散させていれば最悪のケースは免れることが出来ますし、他のファンドから得られる金利で損失をカバーすることも出来ます。したがって、各種ファンドにきちんと分散投資を行い、リスクを分散させることが重要です。

私自身、高利回りの案件に集中投資しがちなところがありましたが、改めて分散させることの重要性を感じました。反省し、今後しっかり意識していきたいと思います。

さて運用報告会の話に戻ります。

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)
クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

クラウドクレジットでは、投資における期待リターンについて投資家が分かりやすいようにしたり、シミュレーションしたり出来るよう、

・ ポジション一括機能
・ シミュレーション機能

を開発中とのこと。

シミュレーション機能については1月13日に更新されたクラウドクレジットのブログ(公式サイト 社長 杉山智行のブログ:ソーシャルレンディングがミドルリスク・ミドルリターンといわれる理由)でも詳しく紹介されていますが、画期的だなと思いました。

私たちクラウドクレジットでは世界のローンに投資を行う機会を日本の個人投資家の方に2014年6月以来ご提供してきていますが、日本でもローンに投資を行う個人投資家の方が近年増えてきました。 日本ではこれま

まだ歴史が浅いだけにどれだけの精度が出るのかは分かりませんが、なんとなくでも感覚を掴んでおくことは大切だと思います。

こうした機能の拡充からも、クラウドクレジットが投資家への正しい理解を促し、分散投資を進めさせたいという思いを感じますね。会社として、真摯な姿勢を感じました。

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

クラウドクレジットの側でも、分散を進めるためにも、さらなる案件(ファンド)の組成中とのこと。現在は約10種類のファンドを運用していますが、今年は15~20に増やしたいということでした。拡充に期待したいところです。

と、ここまでで社長のお話は終了です。

商品概要

ここからは、商品部長の依田さんがお話されました。

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

まずは全体の説明として、ファンドのスキーム図が示されました。
詳細は省きますが、昨年11月にそれ以前と比べて少し変更になったとのこと。おそらく預託金口座が導入されたからだと思います。

預託金口座導入前に口座開設をしていて預託金口座の導入に同意していない方は、新規ファンドの購入が出来ないというような話もありました。

ファンドの運用状況説明

今回説明を受けるにあたり、各ファンドにそれぞれのステータスが示されていました。ステータスは、の3種類。

意味合いとして、こんな説明がありました。

:財産の質が不透明。リターンの質が見込みづらい。今後どうなるか不透明な状態。
:運用中に色々なイベントがあり、予定通りの利回りが出ない可能性がある。但し、元本割れという程ではない。
:懸念事項が少なく、現時点では期待利回りが十分確保出来る見込みが高い。

今回説明があった12種類のファンドでは、

:1種類(欧州3か国個人向けローンファンド・ハイイールド)
:3種類
:8種類

です。

赤については危険な感じを受けつつ、各種ファンドの説明に移ります。

1.カメルーン中小企業支援プロジェクト

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)
クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)注)E:為替ヘッジ無し、J:為替ヘッジ有

まずは、期待利回りが高くてクラウドクレジットでも人気のファンド、「カメルーン中小企業支援プロジェクト」です。ステータスは黄色

こちら、1号(為替ヘッジ無し・為替ヘッジ有)と2号(為替ヘッジ無し・為替ヘッジ有)について満期となっていますが、そのうち3本(1号為替ヘッジ有、2号為替ヘッジ有・無)についてはそれぞれ異なる1社ずつ未返済が起きたとのことでした。そのため、一部返済出来ず期間延長となっているようです。但し、現在回収手続きを行っており、大きな損失等は見込まれていないとのことでした。

ここで、資料2枚目によるとカメルーン中小企業支援プロジェクト1号&2号の貸付案件数は

1号(為替ヘッジ無し):7件
1号(為替ヘッジ有り):12件(1社未返済)
2号(為替ヘッジ無し):11件(1社未返済)
2号(為替ヘッジ有り):11件(1社未返済)

です。

期間延長中の3つのファンドについては10件以上の案件に投資していてそれぞれ1件が未返済ということで、やはりそれなりにリスクがあるなという風に感じました。3号以降はまだ返済期日が来ていないため状況が分かりませんが、今後も注視していきたいです。

そして私は今回初めて知り、個人的には今回の運用報告会での最大の収穫だと思ったのですが、カメルーン中小企業支援プロジェクトでは為替ヘッジ有りと為替ヘッジ無しでは同じ号でも貸付案件が異なるのですね。募集期間と号数が同じなら、てっきり同じ対象にまとめて投資されるものだと思っておりました。このファンドについては、他のファンドとは性質が異なるようです。
今回の資料と、公式HPの商品情報から、私の方で一部抜粋してみた表を示します。

ファンド名 募集締切日 販売金額[円] 運用額[EUR] 案件数
1号(為替ヘッジ無し) 2016年
4月2日
3,000万円 約243,000 7
1号(為替ヘッジ有り) 2016年
4月21日
5,000万円 約423,400 12
2号(為替ヘッジ無し) 2016年
5月11日
2,500万円 約230,000 11
2号(為替ヘッジ有り) 2016年
5月27日
4,000万円 約329,200 11
3号(為替ヘッジ無し) 2016年
6月15日
3,000万円 約255,600 9
3号(為替ヘッジ有り) 2016年
6月15日
8,000万円 約678,000 20
4号(為替ヘッジ無し) 2016年
6月30日
1,000万円 約7,765 1
4号(為替ヘッジ有り) 2016年
6月30日
2,000万円 約144,600 3
5号(為替ヘッジ無し) 2016年
7月31日
500万円 約48,900 1
5号(為替ヘッジ有り) 2016年
7月31日
3,500万円 約309,400 4
6号(為替ヘッジ無し) 2016年
8月17日
500万円 約45,140 4
6号(為替ヘッジ有り) 2016年
8月17日
1,500万円 約141,300 2
7号(為替ヘッジ無し) 2016年
9月29日
2,000万円 約174,400 9
7号(為替ヘッジ有り) 2016年
10月16日
3,000万円 約275,800 7
8号(為替ヘッジ無し) 2016年
10月31日
2,500万円 約175,900 7
8号(為替ヘッジ有り) 2016年
11月15日
5,000万円 約419,900 16
9号(為替ヘッジ無し) 2016年
12月15日
1,000万円
9号(為替ヘッジ有り) 2016年
12月15日
3,000万円
10号(為替ヘッジ無し) 2016年
12月30日
500万円
10号(為替ヘッジ有り) 2016年
12月30日
3,000万円
11号(為替ヘッジ無し) 2017年
1月13日
500万円
11号(為替ヘッジ有り) 2017年
1月13日
1,600万円

上記表でまとめたように、カメルーン中小企業支援プロジェクトでは、同時期に発売されたファンドでも為替ヘッジ有りと無しで貸付案件数が異なります
気になるのは、案件数が「1」など、少なくなっているファンド。こちらについては、

調達金額が少なかったので案件数も少なくなった

というような説明がありましたが、案件数「1」だとその1社に対するリスクが大きいですよね。先の説明で10社に1社くらい延滞は有り得る、という懸念がある中で、案件数「1」は恐いです…。まあ、延滞したからといって回収不能なわけではないことは理解しておりますが、やっぱり出来るだけ投資先は分散させて延滞リスクの低減を図りたいところです。
私は、為替ヘッジが有りと無しのファンドが販売されているのを見て、これまでは「為替リスクを負うか負わないか」だけの違いだと思っていました。しかし今回の運用報告会で資料を見て、カメルーン中小企業支援プロジェクトについてはそれ以外の分散性も違うことを知りました。

こうなってくると、現状では為替ヘッジ有り案件を選択した方が良いような気がしてきます。というのも、最近のクラウドクレジットのファンド募集においては圧倒的に為替ヘッジ有りのものが人気で、為替ヘッジ無しは人気が低く資金が集まりづらい状況になっているんですよね。最近の為替ヘッジ無しの案件は、販売金額500万円に対してかなり低い金額しか集まっていないように思います。となると、案件数の分散はあまり期待出来ない気が…。私が投資した9号・11号(共に為替ヘッジ無し)の状況が気になるところです。
勿論、為替ヘッジ有りのファンドで調達金額が大きくても案件数が少ない場合、案件数が多くてもそのうち一社に大きく投資している場合もあるので一概には言えませんが、個人的には、現時点では為替ヘッジ有りの方が無難な気がしています。

こうなってくると、やはり預託金口座が外貨に対応してくれることを望みたいです。一時の為替リスクを避けるために為替ヘッジ有りを選択している投資家が多いと思うのですが、預託金口座が外貨に対応してくれれば、為替ヘッジ無しで継続的に運用していく投資家も増えていくと思うのです。実際、私もそうしたいですし。

運用報告会後、個人的に質問した際に「社内でも預託金口座を外貨に対応しなければならないことは認識しており、取り組んでいくつもり」との回答は頂きましたが、他の取り組み等との優先順位の兼ね合いですぐにとはいかなさそうな感じでした。でも、対応していく予定自体はあるようなので、今後に是非期待したいです。

2.東欧金融事業者支援ファンド

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)
クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

東欧金融事業者支援ファンドは、ステータスが緑色。順調に運用されているようです。

こちらのファンドについては、号が違っても全て貸付先の会社は同じです。貸付先はキプロスにある会社とジョージアにある会社の2社ですが、実際には資金のほとんどはキプロス籍の金融持ち株会社(主要資金貸付先)への直接貸付とのこと。したがって、このファンドにとっては、その主要資金貸付先の財務状況が大変重要となるとのことです。

現在、主要資金貸付先においてはコンスタントに利益が出ているとのこと。バランスシート中の「流動資産」の大部分は東欧・ジョージアへの個人向け貸付分のようです。

クラウドクレジットの見解としては、「当面は大丈夫との見込み」という話でした。

3.北欧個人向けローンファンド

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)
クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

北欧個人向けローンファンドのステータスは黄色です。
このファンドでは、Fellow Finance と Bondora の2つのプラットフォームを使って個人向け貸付を行っています。

こちら、延滞無しの正常債権がFellow Financeで75%、Bondoraで80%となっており、多少延滞はあるものの債権の質自体は問題無いと考えているとのことでした。
最後まで延滞して返さない人も一定割合では生じますが、延滞金利を支払いながら返す方も多くいるため、強く懸念する必要は無いとのこと。また、一定割合の貸し倒れについては当初から想定しており、それら貸し倒れがあったとしても正常債権で利益を回収出来る予定とのことです。

なお、Fellow Finance では90日を超えた延滞債権は未返済元本の70%の価格で回収業者に売却される契約となっているそうで、91日以上の延滞債券は発生せず、貸倒れ額は延滞分の30%に抑えられるようです。
Bondora については運用を開始して日が浅いため長期延滞債権はまだありませんが、回収業者への売却等も無いため、今後は延滞181日以上の債権が発生してくる見込みとのことでした。

とは言え、債権の質自体には問題が無いようです。
では、何故ステータスが黄色なのか?という疑問が生じますが、これは投資家と借り手の需給バランスが変化したことが原因のようです。

こちら、資料中に示していますように、現時点でのFellow Finance での単純平均貸付金利は18.81%、Bondora での単純平均貸付金利は29.55%です。
しかし、最近は投資家が増加したのに対して借り手がさほど増えていないらしく、例えばこれまでFellow Finance で金利18%で貸し付けていた程度の信用レベルの人にこれから貸し付けを行おうとすると、金利12~13%程度にしかならないということでした。
また、これまで金利18%で借りていた人も「今借り換えれば金利が12%に下がる」となればローンの借り換え等を行いますし(借り手の立場から考えると当然ですよね)、そういった事情で当初の想定よりも貸付金利が下がっているため、想定利回りが確保出来ない可能性がありステータスが黄色となっているようです。
但し債権の質自体は問題無いため、大きな懸念はなさそうでした。

4.イタリア消費者ローンファンド

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)
クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

イタリア消費者ローンファンド、ステータスは黄色です。

こちらはイタリアのP2Pレンディング業者を通して個人向け貸付を行うファンドで、初期に2号まで販売されただけでその後は販売が行われていません。

資料2枚目に貸付の詳細が示されていますが、貸付先はこの16本が全てとのことです。
1件のみ信用リスクFの借り手で返済状況遅延(4回)が発生していますが、この借り手さんは6~9月に延滞していたものの10月から支払いを再開し、現在4か月遅れで支払いを続けているとのことです。
その他の債権には全く遅延も無く、債券の質は問題無いとの話でした。

では、何故ステータスが黄色なのでしょうか

どうも、当初は提携先のP2Pレンディング業者の業務が拡大していって借り手が増加し、金利8%程度で貸し付けが出来るという想定で「期待利回り5.3%」を提示していたようなのです。しかしながら実際には業務拡大は進まず、

・ なかなか貸付出来ない
・ 低い金利でしか貸付出来ない

という事態に陥ったそう。

実際、資料を見ると貸付金利は4%や5%程度のものが多くあります。この程度の貸付金利になってしまうと、運営コスト等を考えた時に期待利回り5.3%には達しないということでした。

しかし債権の質自体は問題無いため、元本割れ等の大きな懸念はなさそうでした。

5.バルト三国自動車リースファンド

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)
クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

バルト三国自動車リースファンドは、ステータスが緑色です。
また、こちらのファンドは号数が違っても貸付先は同じです。

こちら、延滞無しの債権が約86%となっており、債権の質としては問題無く予定通りの収益となっているとのことでした。但し、当初は運用期間が4年だったのに対し、早期償還を行っているということです。これについて説明がありました。

バルト三国自動車リースファンドは、mogo社の自動車リース債権に対する投資です。こちら、mogo社から購入する債権には全て、車両使用者から60日以上のリース料未払いが発生したときにmogo社が買戻を行う条項が付与されているものとなります。それにより、債権者が返済出来なくてもmogo社が代わりに支払ってくれるため、投資家のリスクが抑えられているわけですね。

しかし、こちらについても最近は投資家と借り手の需給バランスが崩れてきているようです。
mogo社にとっては、買戻し条項を付けるのはリスクです。そこで、昨年秋頃に「買戻し条項無し」の案件を販売したところ、金利12%程度(これまでの買戻し条項有の金利とほぼ同じ)で他の投資家たちにかなり売れたようなのです。買戻し条項があっても無くてもほぼ同じ金利で売れるなら、mogo社としては買戻し条項無しの方が良いですよね。
ということで、一時買戻し条項有の案件販売が停止し、最近再開したものの金利は8~9%に低下している、ということでした。

したがって、今後、リース返済分を再投資しようとすると再投資時の金利は8~9%になり想定利回り(9~10.3%)を確保出来なくなってくるため、再投資は行わずに早期償還しているという説明でした。残りの投資中元本については、予定通りの利回りだそうです。

こちら、今後は買戻し条項が無い条件にする等、ファンド条件を変えて販売を再開するかもしれない、という話でした。

6.ペルー小口債務者支援プロジェクト

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)
クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)
クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

ペルー小口債務者支援プロジェクト。ステータスはです。

こちら、全ての号の運用が1アカウントで行われているため、号が異なっても負うリスクは同じです。

資料2枚目に示すように、現在8件の債権の束を保有しているとのことで、全てペルー国内の金融機関から購入しているとのことでした。1~4が銀行、5~8が信用組合のような感じだそうです。
資料中の購入時期を見ると分かる通り、2015年12月以降しばらく債権を購入出来ない時期があったようです。こちら、なかなか購入出来なかったり、価格に折り合いが付かない状態だったとのこと。ですが、2016年12月に多数購入出来ており、今後はそれら債権からの収入で分配を行う予定とのことでした。

このプロジェクトについての説明もありました。

ペルーでは不良債権の価格が安いらしく、昨年12月頃までは不良債権を価格の2~3%程度で購入出来たとのことです。これがどういうことかというと、例えば金融機関から1万円を借りて返せずに延滞している債務者がいるとします。その1万円分の債権を、金融機関は回収業者に200~300円で販売し、回収業者は債務者に対して「1,000円分、1年間分割で良いので、返済を行って欲しい」等の交渉やサポートを行い、債務者も大幅に返済金額が減るため、頑張って返済を行ってくれるそうです。元々200円ほどで購入した債権から1,000円を得ることが出来れば、大きな利益になりますよね。

また、クラウドクレジットの商品説明ページによると、債務者にとっても返済を行うことにより再度金融機関からお金を借りられる状態に戻るというメリットがありますし、金融機関にとっても不良債権を売却することで業務の健全化が図れるということで、社会貢献の一助となるようです。投資して利益を得ながら社会貢献が出来るって、良いですね。

ただ、以前は2~3%で購入出来ていた不良債権は現在だと5%くらいの価格に上昇しているというコメントがあったので、もしかしたら今後期待利回りが下がってくる可能性があるかもしれないなと感じました。

なお、資料3枚目に為替ヘッジ取引について説明がありました。
他のファンドで行うユーロの為替ヘッジ取引と、ペルーの為替ヘッジ取引は方法が異なる、ということでしたが、私の頭ではよく理解出来ず…。すみません。

7.欧州3か国向けローンファンド(ハイイールド型)

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)
クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

欧州3か国向けローンファンド(ハイイールド型)は、今回唯一ステータスがのファンドです。冒頭にあった「見通しが不透明」というのが気になるところですね。

こちらは、Bondoraというプラットフォームを利用した、信用度が低く平均貸付金利の高い個人向けに貸付を行うファンドです。
2枚目の資料を見ると、単純平均貸付金利は63.02%。すごいですね。しかしながら、延滞無しの貸し付けが約27%であるのに対して181日以上延滞している貸付がなんと約41%もあります。クラウドクレジットの当初の想定を超える延滞が起きているということで、実際にいくら資金が返ってくるかが不透明な状態とのことです。

今後、長期にわたり延滞している貸付については法的措置を含む取り立てが続き、その間の延滞金利も上乗せした形で回収を試みるようですが、裁判等による不払い(破産)が決定する案件が発生することが見込まれ、そうなってくるとどれだけ不払いとなってどれだけ回収可能となるのかは「やってみないと分からない」という状態だそうです。なお、Bondoraでは不良債権の販売は行わない方針の企業とのことでした。

このような状況を受け、投資家に対しては、2016年12月の分配から元本部分については予定通りの支払いを行うものの、利益が見通せるようになるまでは、利子分について支払いを停止するとの説明がありました。これは、各号に対して公平な分配が出来るようにするためとのことです。回収見込みについては、分かり次第随時報告するというお話がありました。

質疑応答でも投資家から「もう少し、詳細を知りたい」という話が出ましたが、現時点では先行き不透明ということでこれ以上のことは言えず、現状が分かり次第タイムリーに情報発信する、とのこと。続報を待つしかないようです。

8.欧州3か国個人向けローンファンド(バランス型)

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)
クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

欧州3か国個人向けローンファンド(バランス型)。こちらはバランス型ですので、ハイイールドタイプのファンドとは全く異なる運用がされています。ステータスは緑色です。

こちらもBondoraというプラットフォームを利用した個人向けローンを行うファンドですが、貸付先の信用リスク・平均貸付金利は中程度に設定されています。
こちらについては、単純平均貸付金利は32.48%と、ハイイールド型の約半分です。延滞無しの貸付は約66%、181日以上の貸し付けは約16%となっており、こちらについては想定内の状態であるとのこと。
現時点では、「予定分配を割り込み大きな損失が発生する可能性は低い」というコメントがありました。

9.欧州3か国個人向けローンファンド(リスク低減型)

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)
クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

欧州3か国個人向けローンファンド(リスク低減型)。こちらはリスク低減型ですので、ハイイールド型やバランス型のファンドとは全く異なる運用がされています。ステータスは緑色です。

こちらもBondoraというプラットフォームを利用した個人向けローンを行うファンドですが、信用度が高い方のみへの貸付を行うため、平均貸付金利は低めとなっています。

資料2枚目にあるとおり、延滞無しの貸付は約77%、181日以上延滞している貸付は約12%と、想定内での運用となっており、現時点では「当初の期待通り分配が行われる予定」とのことでした。

10.マイクロローン事業者支援ファンド

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)
クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

マイクロローン事業者支援ファンドは、ステータスがです。
こちらは2社への貸付が行われるファンドですが、資金の大部分は小口融資事業者(B社)グループのキプロス籍の持ち株会社への直接貸付となるそうです。ファンドの号数が違っても、貸付先は同じです。
そのため、このB社の財務状態が非常に重要となります。

B社の直近のEBITDAが資料2枚目に示されていますが、基本的には黒字です。2016年8月に赤字となっていたり、9月の利益が少なくなっていたりしますが、これについてはB社の業務拡大が進んでロシア以外にもブラジルへ進出することになり、ブラジルで新たに会社を設立するための一時的な要因によるものと思われる、との説明がありました。

また、バランスシートの特徴として、「資産額に比べて負債が少ない」ということでした。資本も多く経営が安定しているため、「東欧金融事業者支援ファンド」と比べると貸付金利が3~4%ほど低くなっているというコメントもありました。

11.ジョージアマイクロローン事業者支援ファンド

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

ジョージアマイクロローン事業者支援ファンドは、ステータスがです。
貸付先であるC社は、「マイクロローン事業者支援ファンド」の主要貸付先であるB社のジョージア子会社とのことでした。ファンドの号数が違っても、貸付先は同じです。

財務状態としては基調としては黒字であり、財務基盤がしっかりしているB社の後ろ盾があるため、貸付を行っているそうです。

なお、今後販売するファンドを「マイクロローン事業者支援ファンド」にするか「ジョージアマイクロローン事業者支援ファンド」にするかは、その時の金利次第という話でした。

どちらにしてもB社が重要な存在であることは変わらないため、両ファンドはほぼ同じようなものかなと思いました。

12.リトアニア個人向けローンファンド

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)
クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

リトアニア個人向けローンファンドは、SAVYというP2Pレンディング事業者を通じてリトアニアの個人資金需要者に貸し付けを行うファンドです。ステータスは
ファンドの号数が違っても、負うリスクは同じです。

延滞無しの貸付が大部分とはなっていますが、こちら、まだ運用を開始してから日が浅いファンドであることを考慮する必要があります。公式HPで確認してみたところ1号の子会社貸付実行が2016年7月中旬とのことだったので、運用を開始してから約6か月が経過しているところですね。今後運用期間が長くなるにつれ、一定割合の延滞は発生してくると思われるそうです。

とはいえ現時点では特に問題は確認出来ず、予定通りの利回りを考えているとのことでした。

以上、長くなりましたが運用ファンドに関する報告でした。

貸付型運用の注意点と商品組成実務

クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)
クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)
クラウドクレジット運用報告会資料(2017年1月)

今回の運用報告会では随所でクラウドクレジットさんの「投資家に正しい理解をして頂きたい」という思いを感じましたが、ここでも注意点について述べられていました。

投資は余剰資金で行うべきものですが、「現在余剰資金であっても、例えば1年後に使い道が決まっている資金を期間1年のファンドに投資しないでください」とのことです。そんなことをする人がいるのか…??という疑問が湧きましたが、もしかしたら実際にいたのかもしれません。

また、考慮すべき点として、リスクとしては「貸し倒れ」だけでなく「返済期日の延長」があり得るとのことです。実際、カメルーン中小企業支援プロジェクトでは延長措置が取られていますね。

クラウドクレジット側でも「各種リスクを考慮したうえでファンドを組成しているが、それでもリスクは残るので、投資家サイドでもきちんとリスクについて考えておいて欲しい」ということでした。当然、投資家自身のリスク管理は重要だと思います。

また、海外提携先の選定プロセスについても話がありましたが、きちんと各過程を踏みながら検討を行っているようです。今後の新規提携や新規ファンドの組成に期待したいです。

質疑応答

最後は質疑応答。一部抜粋してご紹介します。
メモを取った範囲でのご紹介ですので、もしかしたら一部異なる場合があるかもしれません。申し訳ありませんが、予めご承知おきください。

Q. 競合はどこであると考えていますか?また、その理由は?

A. 国内は国内不動産を取り扱っている会社が多く、競合はいないと考えている。お互い連絡を取って業界を盛り上げていきたい。

Q. 投資者数や出資金額は?

A. 出資者は約1,300人。平均出資額は113万円だが、中には数千万円投資していらっしゃる方もいるので中央値は40万円程度。最初に30~50万円出資して徐々に増やしていく方が多い。

Q. 国内案件を取り扱う予定はありますか?

A. 未来永劫無いとは言わないが、現状では予定が無い。

Q. ファンドの号でリスクが変わるのはカメルーンファンドだけで、その他は号が違ってもリスクは大きく変わらない?

A. その認識で合っている
ただし、付け加えるなら、東欧、マイクロ、ジョージアマイクロについては貸付先の1社の影響が大きい。その1社に何かがあった時、例えば東欧金融事業者支援ファンドのある号で返済不可能になれば、それ以降の号全てについて返済が不可能になるという点については認識しておいて欲しい。

Q.  Web情報では、号毎のリスクの違いが分かりづらい。しっかり記載して欲しい。

A. 社内協議を行い、正確な情報を発信出来るよう努める。

まだ質問したい方はいらっしゃったようですが、ここで終了予定時間の16時となりましたので閉会しました。その後は会場内にいるクラウドクレジットの社員さんに個別質問を行うという形になりました。実際、各所で活発な質問が行われていましたよ。
私の方でも気になっていたことを質問してみました。

Q. カメルーンファンドは号数が同じでも為替ヘッジ有無で別の運用が行われており分散リスクが異なっているが、例えば東欧などのファンドでは為替ヘッジ有りでも無しでも為替リスク以外の違いは無く運用は同じ?

A. 同じ。途中の質疑応答でもあったが、東欧などのファンドについてはヘッジが有りでも無しでもまとめて1社への貸付となるため、為替リスク以外の違いは無い

Q.預託金口座を外貨にも対応して欲しい。

A. これは社内でも「やらなければならない」という認識になっているので、対応していきたい。但し他にも色々とやるべきことがあり、各種優先順位を付けながら取り組んでいくため、いつ対応出来るか等は言えない状態。

運用報告会に参加した感想

今回運用報告会に参加して、【クラウドクレジット】やその商品ついて理解を深めることが出来ました。Webの情報だけでは分からなかったことも多く、参加して良かったです。
今回の運用報告会は東京・大阪のみでの開催だったため、参加出来ない地方の方等にも情報が共有出来るようレポートをアップしてみました。長くなりましたが、お読みくださった方ありがとうございます。

実際に参加してみて、クラウドクレジットの企業としての真摯な姿勢を感じました。投資家への正しい理解を促しつつ、商品についてもきちんと説明してくれたため、個人的には大変好印象です。「分散」を意識させるような話もあり、高利回りにつられがちな私自身も反省し、しっかりと自分でリスク管理を行っていかなければならないと感じました。

国内では最近様々なソーシャルレンディング事業者が立ち上がっていますが、国内不動産に関する案件ばかりのように思います。こうなると、いくら事業者を変えて投資案件を分散させていたとしても、「日本不動産への集中投資」であることは変わりないと思います。
それに対し、【クラウドクレジット】は様々な国への多種多様なファンドを取り揃えてくれています。ファンド自体の分散効果が高いものもありますし、リスクを分散させやすいのが大変魅力だと改めて思いました。今後さらにファンドが増えていくのが楽しみです。

是非、【クラウドクレジット】さんには今後も頑張って頂きたいです。大変期待しています。

【クラウドクレジット】には下記から登録出来ます。
公式HPの情報も充実していますので、参考になりますよ。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする